地方公務員災害補償基金 福岡県支部
【事例 34】
通勤途上、ゴルフ練習をしようと、練習場に向かっていたところ、交通事故に遭い負傷した事例(通勤災害非該当)
○概要
 被災職員は、三交替制勤務であり、被災当日の勤務は午後4時からであり、通常は午後3時頃に自宅を出ていたが、被災当日は、ゴルフ練習をするため、午後1時に出発したところ、練習場に着く前の午後1時30分頃、交通事故に遭い負傷したものである。
 なお、ゴルフ練習場は通勤経路上にあり、自宅から勤務公署までは通常1時間程度かかる距離である。
○説明
 本件災害は、以下の理由により、通勤による災害に該当しないと認定されたものである。
 地方公務員災害補償法における「通勤」とは、「職員が、勤務のため、住居と勤務場所との間の往復等の移動を、合理的な経路及び方法により行うこと(公務の性質を有するものを除く)」とされ、「勤務のため」とは、当該移動が全体としてみて、勤務と密接な関連性をもって行われるものであること、すなわち、移動と勤務との関連性を失わせる要素が介在していないことをいうものである。
 なお、「勤務のため」の移動であると認められるか否かは、出勤については、交通機関の混雑を避ける目的で早目に出勤する場合、通常の時間より遅く住居を出て出勤する場合等についても、原則として「勤務のため」と認められるが、勤務とは関係のない行為をする目的で住居を出た場合等は「勤務のため」とは認められないとされるものである。
 本件において、被災職員は、出勤の前にゴルフ練習をするため、自宅を通常の時間より早く出発し、練習場に到着する前に、合理的経路上で被災したものであるが、ゴルフ練習をすることは通勤とは関係のない私的用務と認められ、ゴルフ練習のため通常より早く自宅を出発したことは、勤務と密接に関連するものとは認められず、出勤と勤務との関連性を失ったものと認められ、当該通勤行為そのものが、勤務のための通勤と認められないものである。
 以上のことから、本件は通勤による災害に該当しないものと認められる。

地方公務員災害補償基金 福岡県支部