地方公務員災害補償基金 福岡県支部
【事例 7】
清掃作業員が、ゴミ収集作業中、搬送経路から離れた自動販売機で缶ジュースを買い、車両に乗り込もうとしたところ転倒し負傷した事例(公務上)
○概要
 被災職員は、炎天下でのゴミ収集作業終了後、のどが渇いたので休息をとろうと思い、通常の搬送経路から約10mほど離れたところにある自動販売機で缶ジュースを買い、車両に乗り込もうとしたところ、道路の段差につまずき転倒し負傷したもの。
○説明
 本件災害は、以下の理由により、公務上の災害と認定されたものである。
 職務遂行に通常認められる合理的な行為(公務達成のための善意による行為を含む。)を行っている場合の負傷は、原則として、公務上のものとされる。
 職員が職務遂行中に、トイレに行く行為や水を飲みに行く行為等の生理的行為それ自体は、私的行為であるが、これらの行為は、職務遂行に通常伴うと認められる必要かつ合理的な行為であるため、勤務場所を離れてその行為を行うための往復中の災害については、職務遂行に通常伴うと認められる合理的行為として公務遂行性が認められる。
 本件の場合、被災場所は屋外であるが、被災職員は、ゴミ収集を職務としており、屋外が通常の勤務場所であると考えられる。
 さらに、炎天下での作業の後、のどの渇きをいやすため休息をとること自体は、職務遂行に通常認められる合理的な行為であると認められるものである。一般に自動販売機で飲料品等を購入する行為は、嗜好的要素があるものとされているが、本件の場合には、被災職員の通常の勤務場所は屋外であり、勤務公署内のように身近に水飲み場が設置されている場合とは事情が異なっており、また、被災時に缶ジュースを購入した自動販売機が設置されていた場所は、通常の勤務経路とは異なるものの、時間的及び距離的にみても通常の勤務経路から著しく離れているとは認められない。
 したがって、被災職員の勤務形態を考慮した場合、本件のような自動販売機で飲料品を購入する行為は、職務に通常認められる合理的な行為と判断することができる。
 以上のことから、本件は、職務遂行に通常認められる合理的な行為を行っている際に発生した負傷として、公務上の災害と認められる。

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