地方公務員災害補償基金 福岡県支部
【事例 31】
(参考事例)任意団体である体育連盟の役員として業務を行い負傷した事例(公務外)
○概要
 中学校の教諭である被災職員(以下「本人」という。)が、中学校体育大会地区バスケットボール大会(以下「大会」という。)において審判を行っている最中に左大腿部に激痛を感じたため、整骨院を受診したところ「左大腿部挫傷」と診断されたもの。
 [参考]
 ・本人はバスケットボール部の顧問であり、職務命令により引率業務のため大会に参加していた。
 ・地区内中学校のバスケットボール部顧問が市中学校体育連盟(以下「中体連」という。)バスケットボール専門委員と位置付けられており、本人は当該委員の業務として大会の審判を行っていた。
 ・大会は開催要綱上、中体連、市教育委員会(以下「市教委」という。)、市中学校校長会(以下「校長会」という。)の共同開催とされている。なお、市教委は経費負担をしていない。
 ・本大会の企画・運営は中体連地区事務局が行っている。
○説明
本件災害は、以下の理由により、公務外の災害と認定されたものである。
 一般的に、教職員がクラブ活動の指導を行うことは職務の一環として公務遂行性が認められる。また、中体連が主催する大会へ勤務校のクラブの部員である生徒が参加するため、当該クラブの顧問として生徒を引率する業務については、職務命令に基づき生徒に対する管理監督を行うこととされていることから通常の職務に含まれるので、公務遂行性が認められる。
 本件においては、職務命令に基づき生徒の引率業務に当たっていたものであり、当該引率業務については、公務遂行性が認められる。
 しかしながら、本件災害は、本人が審判業務を行っていた際に発生したものであり、当該審判業務は、中体連バスケットボール専門委員として行ったものであることから、生徒の引率業務には含まれない。そして、原則として、中体連等任意団体から委嘱されて当該団体の役員となっている場合の当該役員の業務は公務とは認められないことから、本件の審判業務について公務遂行性は認められない。
 なお、本件大会は、任命権者である市教委、中体連及び校長会の共催とされているが、大会は中体連地区事務局が企画・運営を行っており、また、大会に係る市教委の経費負担がないことからも、市教委の実質的な関与は認められず、中体連バスケットボール専門委員として行った審判業務を公務として取り扱うべき事情は認められない。
 以上のことから、本件災害は、中体連のバスケットボール専門委員としての業務を行っていた際に発生したものであることから、公務遂行性は認められず、公務上の災害とは認められない。

〔出典:月刊災害補償2003年3月号Q&A〕

地方公務員災害補償基金 福岡県支部