高等学校の教諭が、突然めまいがして、後ろ仰向けに倒れて負傷した事例（公務外）

　被災職員は、視聴覚室で文化祭の後片付け中に突然めまいがしてよろめき後ろ仰向けに倒れて、床で後頭部を打ち「頭部外傷、脳震盪、頸椎捻挫」と診断されたものであり、めまいがして以降は本人には記憶がないものである。
　なお、被災職員は災害発生以前にも、めまいの症状があったとのことである。

　本件は、以下の理由により、公務外の災害と認定されたものである。医学的観点で心身に何らかの素因を有しており、その素因が原因となって事故が発生し、その結果として負傷した場合は公務を機会原因として発生した災害であるから公務と相当因果関係は認められず公務上の災害とは認められないものである。しかしながら、高素因の場合であっても、勤務環境、施設等が共働関係となって負傷した場合は、公務と相当因果関係が認められる場合があるものである。
　本件の場合、本人の申し立てによると、めまいがしてよろめいたとしていることから、めまいが本件災害の原因となっていることが認められる。また、よろめいた所は平らな場所であり、勤務環境に内在する危険が現実化したものであるとは認められないことから、学校施設が共働関係となっているとは認められない。
　なお、本人は被災以前に複雑な事情の生徒の家庭訪問をしており、さらに文化祭の準備で朝早くから夜遅くまで連日勤務する状況があったとしているが、これらの勤務は、教諭の通常の職務であり、また、本人は以前にもめまいがあったとしていることから、被災前の勤務がめまいを引き起こしたものとは認めることは困難である。
　以上のことから、本件災害は、本人の素因たるめまいが原因となって発生したものと判断されることから、公務上の災害とは認められない。