地方公務員災害補償基金 福岡県支部
【事例 23】
訓練中において長距離走を完走後に熱射病を発症した事例(公務上)
○概要
 警察官(機動隊員)である被災職員は、機動隊員訓練で、全身を覆う装備を装着して約3kmの駆け足訓練を完走したところ、体調の不調を訴えた。
 その後、意識がなく、汗びっしょりで、呼吸が激しい状態であったことから、病院へ搬送したところ、「熱射病」と診断されたものである。
 なお、当日の天候は晴れで、最高気温は31度、湿度は70%、訓練時の服装は、個人装備(約10kg)、防護大楯(約5kg)であった。
○説明
 本件災害は、以下の理由により、公務上の災害と認定されたものである。
 医学経験則上、熱射病とは熱中症を病態生理学的に分類した疾病のひとつであり、高温、高熱の条件下でエネルギー消費の多い運動を行うことで、体温の異常上昇が続いたり、発汗の停止や血液の濃縮(脱水症状)痙攣、意識障害などの症状を呈するものとされている。
 そこで、被災当日、被災職員が行っていた訓練内容とみると、全身を覆う重量計15kgの装備を装着し約3kmの駆け足訓練を完走したもので、被災当日の天候からも、当該訓練は高温の条件下でエネルギー消費が非常に多い運動であったものと認められる。
 また、被災職員が医療機関を受診した際には、発熱しており、被災職員の症状に意識障害があることからも、被災職員は当該訓練によって、熱射病を発症したものと認められる。
 以上のことから、本件疾病は「公務に起因することが明らかな疾病」と認められる。

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