地方公務員災害補償基金 福岡県支部
【事例 16】
小学校教諭が、市青少年育成市民会議の依頼により、地域内をスピーカーの付いた広報車で巡回中に負傷した事例(公務外)
○概要
 小学校教諭である被災職員は、市青少年育成市民会議の依頼により、「児童生徒の安全を守るために、地域住民にも不審者に対する意識を向上させる。」目的で地域内をスピーカーのついた広報車で巡回中に交通事故に遭い、負傷したもの。なお、学校長は青少年育成市民会議の依頼を受け、教頭、生徒指導担当に出張命令を出して従事させていた。
○説明
 本件は、以下の理由により、公務外の災害と認定されたものである。
 教諭の職務としては、学習指導要領に基づいて行われる授業等の学習指導や生活指導、学校運営に係る校務分掌事務等が考えられ、一般に、教諭が児童生徒の指導等を行うために地域内を巡回することについては、職務の一環として公務遂行性が認められる。
 しかしながら、本件の場合、学校長の出張命令により、スピーカー付き広報車で地区内を巡回するものとされているが、業務の目的は、「児童生徒の安全を守るために、地域住民にも不審者に対する意識を向上させる」ことになっており、かかる巡回業務は、児童生徒の指導のためというよりも、地域住民の意識向上のためのものであると認められるので、公務遂行性は認められない。また、一方、学校長が市青少年育成市民会議から依頼されているため、市青少年育成市民会議の業務を行っていたものとして検討すると、市青少年育成市民会議は任意団体であるため、任命権者がすべての学校に対してそのような団体の業務を承認している等、当該団体の業務を公務とみなすことができるような特段の事情がない限りは、市青少年育成市民会議の業務は公務とはみなされないものであることから、当該業務には公務遂行性は認められない。
 以上のことから、本件については、公務遂行性は認められず、公務上の災害とは認められない。

地方公務員災害補償基金 福岡県支部