地方公務員災害補償基金 福岡県支部
【事例 15】
勤務を要しない日に勤務を命ぜられ、退勤する途上で負傷した事例(公務上)
○概要
 被災職員は、本来勤務を要しない日曜日に勤務を命じられ、勤務終了後、その退勤の途上で負傷したもの。なお、災害発生当日の退勤経路及び方法は合理的なものであり、特に私用を弁じていたという状況はない。
○説明
 本件は、以下の理由により、公務上の災害と認定されたものである。
 一般に出勤又は退勤途上の災害は通勤による災害の対象となるが、任命権者により交通機関が指定されている場合や緊急の呼出しを受けた場合等には、任命権者の支配管理が強く及んでいると認められることから、公務遂行性があるものとして、公務上の災害の対象とされるものである。
 しかし、特別な事情のある場合を除いて、遅刻状態にある場合の出勤や早退に伴う退勤については、もはや任命権者の強い支配管理下にあるとは認められないことから、公務遂行性は認められない。
 なお、この場合の「特別の事情」は、具体的な事案ごとに社会通念に照らして判断するものである。
 本件についてみると、被災職員は勤務を要しない日(日曜日)に出勤していることから、「勤務を要しない日に特に勤務することを命ぜられた場合」に当たる。
 また、予定された勤務の終了後、退勤していることから、早退に伴う退勤について考慮する必要はなく、当然に公務遂行性が認められ、本件退勤途上の負傷は公務上の災害と認められるものである。

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