【事例 13】
勤務中に、通勤に使用している自家用車内に会議で使用する書類の原本が入った封筒を置き忘れていることに気付き、慌てて駐車場まで戻ったところ、急に激しく雨が降り出したため、できるだけ短距離・短時間で戻るため、駐車場の区画を仕切っている植え込み(約1.5m幅)を飛び越えたところ、着地地点が雨で滑りやすくなっていたため、着地の際、滑って尻餅をつき、負傷した事例(公務外)
○概要
被災職員は、勤務中に、通勤に使用している自家用車内に会議で使用する書類の原本が入った封筒を置き忘れていることに気付き、慌てて駐車場まで戻ったところ、急に激しく雨が降り出した。被災職員は、できるだけ短距離・短時間で戻ろうとして、通常、職員が使用する一般的な経路ではなく、駐車場の区画を仕切っている植え込み(約1.5m幅)を飛び越えたところ、着地地点が雨で滑りやすくなっていたため、着地の際、滑って尻餅をつき、負傷したもの。なお、自家用車は任命権者が指定する勤務公署内にある駐車場に駐車していた。また、駐車場側にある勤務公署の出入口から自家用車まで、歩いて5分程度の距離であった。
○説明
本件は、以下の理由により、公務外の災害と認定されたものである。
職員は、勤務時間において、職務に専念する義務を負っているが、実際には、職務遂行中に一時的に職務から離脱する場合があり、その際に災害が発生することもある。
職務そのものではないが、いわゆる職務に付随する行為については、「職務の遂行に通常伴うと認められる合理的な行為(公務達成のための善意による行為を含む。)を行っている場合」として、公務遂行性を認めることとしており、この合理的行為には、@生理的必要行為、A業務待機中の行為、B食事行為、C医療機関へ行く行為、D公務達成のための善意行為等がある。
本件の場合、勤務時間中ではあるものの、会議で使用する書類を自家用車まで取りに行ったものであることから、職務に付随する合理的行為と言え、公務遂行性は認められる。
しかしながら、被災職員が駐車場から勤務公署まで戻った経路は、短距離かつ短時間で到着する経路ではあるが、区画を仕切っている約1.5m幅の植え込みを飛び越えており、通常、植え込み等の仕切りを飛び越える等の行為を、現に誰もが行っている行為とは考えられず、公道を通行する場合等と同様に取り扱うことは適切ではなく、通常、被災職員が使用する一般的な経路を用いた場合でも5分程度であることを併せて考慮すれば、濡らさないように短時間かつ短距離の経路をやむを得ず用いていたとしても、かかる行為は恣意的行為であり、公務起因性が認められず、公務上の災害とは認められない。
職員は、勤務時間において、職務に専念する義務を負っているが、実際には、職務遂行中に一時的に職務から離脱する場合があり、その際に災害が発生することもある。
職務そのものではないが、いわゆる職務に付随する行為については、「職務の遂行に通常伴うと認められる合理的な行為(公務達成のための善意による行為を含む。)を行っている場合」として、公務遂行性を認めることとしており、この合理的行為には、@生理的必要行為、A業務待機中の行為、B食事行為、C医療機関へ行く行為、D公務達成のための善意行為等がある。
本件の場合、勤務時間中ではあるものの、会議で使用する書類を自家用車まで取りに行ったものであることから、職務に付随する合理的行為と言え、公務遂行性は認められる。
しかしながら、被災職員が駐車場から勤務公署まで戻った経路は、短距離かつ短時間で到着する経路ではあるが、区画を仕切っている約1.5m幅の植え込みを飛び越えており、通常、植え込み等の仕切りを飛び越える等の行為を、現に誰もが行っている行為とは考えられず、公道を通行する場合等と同様に取り扱うことは適切ではなく、通常、被災職員が使用する一般的な経路を用いた場合でも5分程度であることを併せて考慮すれば、濡らさないように短時間かつ短距離の経路をやむを得ず用いていたとしても、かかる行為は恣意的行為であり、公務起因性が認められず、公務上の災害とは認められない。