地方公務員災害補償基金 福岡県支部
【事例 11】
防災訓練により通勤方法を指定された出勤途上に負傷した事例(公務上)
○概要
 被災職員は、地域防災計画に基づき任命権者が企画立案する「職員の参集訓練」の中で、バイクによる通勤を指定され、当日出勤途中、トラックに接触し負傷したもの。
 なお、本人は、通常の出勤は、バス、電車を利用するが、当日は参集訓練実施要領により、バイク、自転車及び徒歩のいずれかでの出勤が指示されていた。
○説明
 本件災害は、以下の理由により、公務上の災害と認定されたものである。
 地方公務員災害補償法第2条第2項において、通勤とは「職員が、勤務のため、住居と勤務場所との間を、合理的な経路及び方法により往復することをいい、公務の性質を有するものを除くものとする。」とされており、任命権者の支配管理下にあると認められる通勤については、通勤自体に公務遂行性が認められることから、公務災害として取り扱っているところである。
 しかしながら、公務の性質を有する場合であっても、合理的な経路若しくは方法によらない場合又は遅刻若しくは早退の状態にある場合は、任命権者の支配管理下から逸脱したものとして公務遂行性は認められない。
 本件についてみると、本件災害は、任命権者が企画立案した「参集訓練」の実施中に負傷したものであるが、今回の参集方法は、原則として市内、市外を問わずバイク、自転車及び徒歩のいずれかの方法で自宅から登庁するように指示されており、本人はバイクを利用したものである。このように、当該訓練にあたり本人は、任命権者に指定された通常の通勤方法とは異なる方法により通勤を行っており、任命権者の支配管理下にあると認められる通勤であることから、公務上の災害と認められる。

地方公務員災害補償基金 福岡県支部