地方公務員災害補償基金 福岡県支部
【事例 10】
土木事務所の作業員が、勤務場所内の風呂場において転倒し、負傷した事例(公務上)
○概要
 土木事務所の作業員である被災職員は、作業終了後、事務所に戻り風呂に入るため、脱衣所から浴室内に入り、立ったまま前屈みの姿勢で、壁側に積んである風呂桶を取ろうとした際、左足が滑ったため転倒し、負傷したもの。
○説明
 本件災害は、以下の理由により、公務上の災害と認定されたものである。
 職員の勤務の過程には、任命権者等から命ぜられた本来の担当業務のほか、当該業務の前後における準備行為又は後始末行為も含まれているのが通常である。すなわち、勤務開始前には、更衣、勤務環境の清掃、機械器具の点検等の準備行為が行われ、勤務終了後には、機械器具の整備・格納、作業環境の整理・清掃、洗面、手洗い、更衣等の後始末行為が行われる。また、清掃作業員等の場合には、勤務終了後に入浴する場合もある。これらの行為は、その職員に割り当てられた本来の職務そのものではないが、職務を行う上で通常又は当然に付随するものであるため、勤務時間の前後の合理的な時間内に行う職務遂行に必要な行為は、本来の職務と同様に、公務遂行性が認められる。
 本件については、本人は土木作業員であり、作業から戻った際には体等が汚れていることが当然考えられ、その汚れを落とすために勤務場所の風呂に入ることは妥当なものである。よって、本人が勤務場所内の風呂に入る行為は、勤務時間の終わりにおいて職務の遂行に必要な後始末行為と認められ、本件災害は、公務遂行中に発生したものと認められ、また、公務起因性の要件も充足しているので、公務上の災害と認められる。

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